森田療法が効果を発揮するケース

森田療法とは、わが国の精神科医、森田正馬が創始した、日本独自のすぐれた治療法です。

森田療法は、もともと神経質タイプの神経症に効果的であるといわれてきました。具体的には、対人恐怖や広場恐怖などの恐怖症、強迫神経症、不安神経症(パニック障害、全般性不安障害)、心気症などが主たる治療の対象であり、これまでに高い治療効果をあげてきています。
その後、森田療法は、神経症のみならず、慢性化したうつ病やがんの患者のメンタルヘルスケアの向上など、幅広い分野で応用されています。次第に国際的にも普及しつつあります。

森田療法の基本的な観点は、神経症者の人々の根底にある「不安」に対して、それを異常な心理現象ととらえない事です。むしろ、より良くいきたいという人間本来の欲望が強ければ強いほど、その裏返しとして死の恐怖に由来する、様々な不安もまた強く自覚され、これが人間心理の両面であり、自然な心であると考えたのです。故に、自らの不安や恐怖だけを取り除こうとしようとするあまり、かえってそれらの感情にとらわれ、不安や恐怖が一層強くなるという悪循環であると理解します。

すなわち森田療法では、神経症の発症原因を、神経質な性格を基盤に、特有の心理的メカニズムで発症すると考えたのです。その心理的メカニズムとは、精神交互作用であり、思想の矛盾と呼ばれる不可能を可能にしようとする、心の葛藤であると説明したのです。
このような背景のある神経症の治療法とは、「こだわらず」「あるがまま」に感じながら、不安や症状を排除しようとする努力はやめて、そのままにしておく態度を養う事です。そのために、不安は不安のままに、なすべきことを行動し、一生懸命に生きるという事を教え、実践させる治療方法です。治療方法には軽度の場合には、通院治療で、重度の場合には専門の施設に入院する療法が適用されます。

森田療法は健康な人が学んでも参考になるところが大きく、不安神経症や強迫神経症にも有効なケースが多いのです。

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